児童発達支援の5領域とは?ガイドラインの内容・具体例・個別支援計画への活かし方を徹底解説

「児童発達支援の5領域って何?」「ガイドラインにはどう書かれているの?」「個別支援計画にどう反映すればいいの?」——こうした疑問を持つ事業所の方は多いのではないでしょうか。児童発達支援 5領域(ガイドライン)は、障害のある子どもの発達を総合的に支援するための枠組みです。

令和6年度の報酬改定により、5領域すべてを網羅した支援の提供が運営基準に明記されました。さらに令和7年4月からは支援プログラムの公表が完全義務化され、未対応の事業所には減算が適用されています。

本記事では、こども家庭庁が公表した最新のガイドライン(令和6年7月改訂版)をもとに、5領域の定義からねらい、支援内容の具体例、個別支援計画への落とし込み方まで、現場で即実践できるレベルで詳しく解説します。児童発達支援管理責任者(児発管)や支援員の方はもちろん、保護者の方にもお役立ていただける内容です。

目次

児童発達支援 5領域がガイドラインで定められた背景と目的

児童発達支援ガイドラインの沿革

児童発達支援ガイドラインは、平成29年7月に初めて策定されました。当時から「本人支援」の内容として5領域が示されていました。その後、障害児通所支援の事業所数と利用者数が急増し、支援の質にばらつきが生じたことが課題となりました。

令和4年の児童福祉法改正を経て、令和6年7月にガイドラインが全面改訂されました。この改訂は「こどもまんなか社会」の実現を掲げるこども家庭庁のもとで行われたものです。改訂版では、こどもの権利条約や障害者権利条約の理念がより強く反映されています。

5領域が重視される理由

子どもの発達は一つの側面だけで完結しません。身体の成長、認知の発達、言語の獲得、社会性の形成など、複数の側面が相互に影響し合いながら進みます。たとえば、運動機能の発達は探索行動を促し、認知の発達につながります。言語の獲得は他者との関係構築を支え、社会性の基盤を形成します。

5領域は、こうした子どもの発達の多面性を体系的に捉えるための枠組みです。特定の療育内容に偏ることなく、総合的な支援を提供するために不可欠な視点となっています。

令和6年度報酬改定での位置づけ

令和6年度(2024年度)の報酬改定では、5領域に関する重要な変更がありました。主なポイントは次のとおりです。

  • 5領域すべてを含む総合的な支援の提供が運営基準に明記された
  • 個別支援計画において5領域との関連性を明確にすることが求められた
  • 5領域を網羅した支援プログラムの作成と公表が義務化された
  • 未対応の場合は「支援プログラム未公表減算」が適用される

経過措置として令和7年3月末までの猶予期間が設けられていましたが、令和7年4月1日からは完全適用となっています。現在すべての事業所が対応を完了していなければならない状況です。

5領域の全体像と各領域の関係性

児童発達支援における5領域は以下の5つで構成されています。

領域番号領域名主な対象
1健康・生活心身の健康、生活習慣、基本的生活スキル
2運動・感覚姿勢、運動機能、感覚の活用
3認知・行動思考力、概念形成、適切な行動の習得
4言語・コミュニケーション言語の理解と表出、意思疎通の手段
5人間関係・社会性対人関係、自己理解、集団参加

これら5つの領域は独立して存在するものではありません。相互に重なり合い、影響し合っています。たとえば「おやつの時間に友達と一緒に食べる」という場面一つをとっても、健康・生活(食事のマナー)、運動・感覚(食具の操作)、認知・行動(順番の理解)、言語・コミュニケーション(「ちょうだい」と伝える)、人間関係・社会性(友達との関わり)のすべてが含まれます。

ガイドラインでも「各領域は相互に関連し合って成り立っており、重なる部分もある」と明記されています。支援を計画する際は、一つの活動が複数の領域に働きかけるという横断的な視点を持つことが大切です。

第1領域「健康・生活」のねらいと支援内容

ねらい

「健康・生活」領域には、4つのねらいが設定されています。

  • 健康状態の維持・改善
  • 生活習慣や生活リズムの形成
  • 基本的生活スキルの獲得
  • 生活におけるマネジメントスキルの育成

支援内容の詳細

「健康状態の維持・改善」では、子どもの心身の状態をきめ細かく観察します。意思表示が困難な子どもに対しては、障害の特性に配慮し、小さなサインを見逃さないことが重要です。通所時には毎回の体温測定や情緒の把握を行い、変化を記録に残します。

「生活習慣や生活リズムの形成」では、睡眠、食事、排泄などの基本的な生活習慣を整えていきます。食を営む力の育成として、楽しく食事ができるための環境づくりも含まれます。衣服の調節や室温管理、病気の予防についても配慮が求められます。

「基本的生活スキルの獲得」は、食事、排泄、着替え、清潔保持など日常生活に必要な技能を身につける支援です。遊びや体験を通した学びが促されるよう環境を整え、障害の特性に配慮した時間や空間の構造化も行います。

「生活におけるマネジメントスキルの育成」は、令和6年改訂で新たに加わった視点です。子ども自身が自分の特性や困難を理解し、状況に応じて行動や感情を調整する力を育てます。

具体的な支援プログラム例

手洗い練習:イラスト付きの手順表を洗面台に掲示し、一つずつ確認しながら手洗いの手順を覚える。泡立てる時間を歌に合わせて楽しく実施する。

食育プログラム:簡単な調理活動(おにぎりづくりなど)を通して、食材への関心を高める。手指の巧緻性(運動・感覚領域)や手順の理解(認知・行動領域)にも働きかけることができる。

着替え練習:視覚的なスケジュールカードを使い、着替えの順番を示す。できた部分を具体的に褒め、自信を育てる。

第2領域「運動・感覚」のねらいと支援内容

ねらい

「運動・感覚」領域のねらいは以下の6つです。

  • 姿勢と運動・動作の基本的技能の向上
  • 姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用
  • 身体の移動能力の向上
  • 保有する感覚の活用
  • 感覚の補助及び代行手段の活用
  • 感覚の特性への対応

支援内容の詳細

「姿勢と運動・動作の基本的技能の向上」では、日常生活に必要な姿勢保持、上肢・下肢の運動・動作の改善と習得を支援します。関節の拘縮や変形の予防、筋力の維持・強化も含まれます。姿勢の保持や動作が困難な場合は、姿勢保持装置などの補助手段を活用します。

「身体の移動能力の向上」では、自力での移動だけでなく、歩行器や車椅子の使用、交通機関の利用など社会的な場面での移動も支援対象となります。

「保有する感覚の活用」は特に重要な支援項目です。視覚、聴覚、触覚だけでなく、固有受容覚(からだの位置や動きを感じる感覚)や前庭覚(バランスや加速を感じる感覚)も含めて、遊びを通して活用できるよう支援します。

「感覚の特性への対応」では、感覚過敏や感覚鈍麻のある子どもに対して環境調整を行います。音に過敏な子どもにはイヤーマフを用意する、触覚過敏のある子どもには素材に配慮するなどの対応が含まれます。

具体的な支援プログラム例

粗大運動プログラム:トランポリン、バランスボール、平均台を使った運動遊び。前庭覚や固有受容覚への刺激を通して、姿勢保持やバランス感覚を養う。

感覚統合あそび:砂遊び、水遊び、粘土遊びなど、さまざまな感覚刺激を得られる活動。触覚防衛反応のある子どもには段階的に素材に触れる機会を設け、無理強いしない。

微細運動プログラム:ビーズ通し、はさみの練習、シール貼りなどの手指を使う活動。ボタンの留め外しなど生活スキルにもつながる内容を取り入れる。

第3領域「認知・行動」のねらいと支援内容

ねらい

「認知・行動」領域のねらいは以下の3つです。

  • 認知の特性についての理解と対応
  • 対象や外部環境の適切な認知と適切な行動の習得
  • 行動障害への予防及び対応

支援内容の詳細

「認知の特性についての理解と対応」では、一人ひとりの認知の特性を踏まえた支援を行います。自分に入ってくる情報を適切に処理できるようサポートすることが基本です。こだわりや偏食といった行動特性への対応も含まれます。

「対象や外部環境の適切な認知と適切な行動の習得」は、さらに細かく分けて理解する必要があります。第一に「感覚の活用や認知機能の発達」として、視覚・聴覚・触覚等の感覚から情報を適切に取得する力を育てます。第二に「知覚から行動への認知過程の発達」として、知覚した情報を過去の知識と照合し、状況を把握・理解して行動につなげる力を養います。第三に「認知や行動の手がかりとなる概念の形成」として、物の属性、形、色、音、大小、数、重さ、空間、時間といった概念を形成します。

「行動障害への予防及び対応」は、感覚や認知の偏り、コミュニケーションの困難さから生じる行動障害に対して、予防的に関わり適切な行動へと導く支援です。

具体的な支援プログラム例

構造化された環境での活動:一日のスケジュールを視覚的に提示し、活動の見通しを持たせる。タイマーを使って「あと何分」を可視化し、時間の概念形成を支援する。

概念形成プログラム:色や形の分類、大小の比較、数の対応など、具体物を使った学習活動。絵カードを使って物の名前や用途を学ぶ。

ソーシャルストーリー:状況の理解と適切な行動の選択を支援するために、具体的な場面をイラストや文章で示し、望ましい行動を事前に学ぶ。

第4領域「言語・コミュニケーション」のねらいと支援内容

ねらい

「言語・コミュニケーション」領域のねらいは以下の6つです。

  • コミュニケーションの基礎的能力の向上
  • 言語の受容と表出
  • 言語の形成と活用
  • 人との相互作用によるコミュニケーション能力の獲得
  • コミュニケーション手段の選択と活用
  • 状況に応じたコミュニケーション

支援内容の詳細

「言語の受容と表出」では、話し言葉や文字、記号などを用いて、相手の意図を理解したり自分の考えを伝えたりできるよう支援します。受容(理解する力)と表出(伝える力)の両面からアプローチすることが大切です。

「言語の形成と活用」では、コミュニケーションを通して言語の概念を形成し、体系的な言語を身につけることを支援します。物や出来事に対応した言葉を使えるようになることを目指します。

「人との相互作用によるコミュニケーション能力の獲得」では、共同注意(同じものを一緒に見る・注目する)の獲得や、場面に応じた言動・対応の力を育てます。

「コミュニケーション手段の選択と活用」は、言語だけに限定しない多様な手段を活用する視点です。指差し、身振り、サイン、手話、点字、タブレット端末など、一人ひとりの特性に応じた手段を選択します。AAC(拡大代替コミュニケーション)の活用もこの領域に含まれます。

具体的な支援プログラム例

絵本の読み聞かせ:語彙の拡大と理解力の向上を目指す。読み聞かせの後に内容について質問し、表出の機会を設ける。

絵カード・PECS(絵カード交換式コミュニケーションシステム)の活用:言語による表出が難しい子どもに対し、絵カードを使って要求や気持ちを伝える手段を提供する。

グループ会話活動:「今日あったこと」を順番に発表する場面を設定する。聞く力と話す力の両方を育てるとともに、順番を待つ社会性にもつながる。

第5領域「人間関係・社会性」のねらいと支援内容

ねらい

「人間関係・社会性」領域のねらいは以下の6つです。

  • アタッチメント(愛着)の形成と安定
  • 情緒の安定
  • 他者との関わり(人間関係)の形成
  • 遊びを通じた社会性の発達
  • 自己の理解と行動の調整
  • 仲間づくりと集団への参加

支援内容の詳細

「アタッチメントの形成と情緒の安定」は、すべての支援の土台となる項目です。子どもが基本的な信頼感を持てるように、環境や人に対する安心感・信頼感を育てます。支援者は「安心の基地」としての役割を果たし、子どもが感情の崩れを経験したときに相談に乗り、折り合いをつけられるよう支えます。

「他者との関わりの形成」では、他者の気持ちや意図を理解し、それに応じた行動をとれるよう支援します。大人との一対一の関わりから始め、徐々にペア活動、小集団活動へと広げていく段階的なアプローチが効果的です。

「遊びを通じた社会性の発達」では、模倣行動の支援、感覚・運動遊びから象徴遊び(ごっこ遊びなど)への発展、一人遊びから協同遊びへの移行を支援します。遊びは子どもにとって最も自然な学びの場です。

「自己の理解と行動の調整」では、自分のできることや苦手なことを理解し、自己を肯定的に捉えられる機会を提供します。気持ちや情動の調整力を育てることも重要な要素です。

具体的な支援プログラム例

SST(ソーシャルスキルトレーニング):ロールプレイを通して、挨拶、お願いの仕方、断り方、謝り方などの具体的な社会的スキルを練習する。

共同制作活動:友達と一緒に大きな壁面画を作る、グループで一つの作品を完成させるなど、協力や役割分担の経験を積む。

ルールのあるゲーム:カードゲームやボードゲームを通して、順番を守る、勝ち負けを受け入れる、ルールに従うといった社会性を育てる。

5領域を個別支援計画に反映する方法

アセスメントの進め方

個別支援計画に5領域を反映するためには、まず5領域の視点からアセスメントを行う必要があります。アセスメントの際に確認すべき項目を領域ごとに整理すると、次のようになります。

領域アセスメントで確認する主な項目
健康・生活健康状態、服薬状況、アレルギー、生活リズム、食事・排泄・着替えの自立度
運動・感覚粗大運動・微細運動の発達段階、感覚の過敏や鈍麻の有無、移動能力
認知・行動概念の理解度、注意力・集中力、見通しを持つ力、こだわりの有無
言語・コミュニケーション語彙数、理解語と表出語の差、コミュニケーション手段、会話のやりとり
人間関係・社会性愛着の状態、対人関係の特徴、集団参加の様子、感情の調整力

アセスメントは、保護者からの聞き取り、関係機関からの情報、事業所での行動観察、必要に応じた発達検査の結果などを総合して行います。最低でも半年に1回、必要に応じて3か月ごとに見直すことが推奨されています。

個別支援計画への記載方法

こども家庭庁が公表した参考記載例をもとに、5領域との関連を明記する方法を説明します。

個別支援計画書には「本人支援」「家族支援」「移行支援」の3つの柱があります。「本人支援」の欄に、支援目標と具体的な支援内容を記載する際、それぞれの目標が5領域のどの領域に該当するかを明記します。

たとえば、長期目標が「身の回りのことを自分でできるようになる」であれば、短期目標として「靴の着脱を一人でできるようになる」と設定し、関連する領域として「健康・生活」「運動・感覚」を記載します。具体的な支援内容として「視覚的な手順表を使い、一つずつ確認しながら練習する」と書きます。

ポイントは、一つの支援目標が複数の領域にまたがることは自然であるという点です。すべての目標を無理に1つの領域に紐づける必要はありません。むしろ複数領域との関連を明示することで、支援の総合性を示すことができます。

5領域を意識した記載例

支援目標:友達と一緒にゲームを楽しむことができる。
関連する5領域:人間関係・社会性、言語・コミュニケーション、認知・行動。
具体的な支援内容:ルールの理解を視覚的に示し(認知・行動)、順番が来たら「どうぞ」と伝える練習をし(言語・コミュニケーション)、勝ち負けの受け入れを支援する(人間関係・社会性)。

支援プログラムの作成と公表の実務

支援プログラムとは何か

支援プログラムとは、事業所全体として提供する支援の内容を5領域とのつながりを明確にして示した計画書のことです。個別支援計画が「一人ひとりの子ども」に焦点を当てるのに対し、支援プログラムは「事業所全体」の支援の方針と内容を示すものです。

こども家庭庁が公表した「支援プログラムの作成及び公表の手引き」では、以下の要素を含めることが求められています。

  • 事業所の支援方針
  • 5領域それぞれに対応した支援内容
  • 4つの基本活動との関連
  • 1日の流れ(タイムテーブル)
  • 支援の提供体制

公表義務と減算措置

令和6年4月から支援プログラムの作成が求められ、令和7年4月1日からは公表と都道府県への届出が完全義務化されました。公表方法はホームページなど広く閲覧できる手段で行う必要があります。

令和7年4月1日以降、支援プログラムの公表および都道府県への届出が行われていない場合は「支援プログラム未公表減算」が適用されます。この減算は基本報酬の一定割合が減額されるものであり、事業所の運営に大きく影響します。

作成のポイント

支援プログラムを作成する際は、次の点に注意してください。

  • 5領域すべてを網羅していること(特定の領域に偏らない)
  • 事業所の特色を活かしつつ総合的な内容になっていること
  • 「自立支援と日常生活の充実のための活動」「多様な遊びや体験活動」「地域交流の活動」「こどもが主体的に参画できる活動」の4つの基本活動を組み合わせていること
  • 定期的に見直しを行う仕組みがあること

5領域の支援を実践するうえでの課題と解決策

課題1:5領域すべてのバランスを保つことが難しい

運動療育に特化した事業所やプログラミング教室型の事業所では、特定の領域に偏りがちです。令和6年度の報酬改定以降、こうした「特化型」事業所も5領域すべてに対応することが求められています。

解決策としては、まず現在提供している活動を5領域の視点で棚卸しすることが有効です。すでに行っている活動が実はほかの領域にも関連していることに気づくケースが多くあります。たとえば、運動療育中の「順番を待つ」場面は人間関係・社会性に該当し、「次は何をする?」という声かけは認知・行動に関連します。

課題2:スタッフ間の理解度にばらつきがある

5領域の考え方や各領域のねらいについて、スタッフ全員が同じレベルで理解しているとは限りません。特に非常勤スタッフや新人スタッフにとっては馴染みの薄い概念かもしれません。

解決策として、定期的な内部研修の実施が不可欠です。事例検討会を通して「この活動はどの領域に関連するか」を話し合う機会を設けると、実践的な理解が深まります。また、日々の活動計画書に5領域との関連を記載する欄を設けると、意識づけが習慣化します。

課題3:アセスメントの方法がわからない

5領域の視点からアセスメントを行うことが義務づけられていますが、具体的にどう評価すればよいか悩む事業所も多いです。

解決策として、こども家庭庁が公表している参考様式を活用することをお勧めします。また、児童発達支援センターによるスーパーバイズやコンサルテーションを受けることもガイドラインで推奨されています。標準化された発達検査(新版K式発達検査、KIDS乳幼児発達スケールなど)の結果も参考になります。

課題4:保護者への説明が難しい

5領域という専門的な枠組みを保護者にわかりやすく説明することに苦労する支援者もいます。

解決策として、「お子さんの育ちを5つの視点からバランスよく見ていきます」とシンプルに伝えることが効果的です。具体的に「からだの健康」「からだの動き」「考える力」「ことばの力」「お友達との関わり」と言い換えると伝わりやすくなります。個別支援計画の説明時に、お子さんの姿と5領域を結びつけて説明すると理解が深まります。

5領域と他制度との関連性

保育所保育指針の5領域との違い

保育所保育指針にも「5領域」がありますが、児童発達支援の5領域とは内容が異なります。

児童発達支援の5領域保育所保育指針の5領域
健康・生活健康
運動・感覚(該当なし)
認知・行動環境
言語・コミュニケーション言葉
人間関係・社会性人間関係
(該当なし)表現

保育所保育指針の5領域は「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5つです。児童発達支援の5領域は、障害のある子どもの発達支援に特化して設計されている点が大きな違いです。「運動・感覚」が独立した領域として設けられているのは、障害のある子どもの支援において身体機能や感覚統合が特に重要であるためです。

インクルージョンとの関係

改訂されたガイドラインでは、地域社会への参加・包摂(インクルージョン)の推進が基本理念の一つに掲げられています。5領域に基づく総合的な支援は、子どもが保育所や幼稚園、学校などでの生活にスムーズに参加するための土台を作ります。

移行支援の観点からも、5領域の視点でアセスメントした内容を移行先の機関と共有することで、切れ目のない支援が実現しやすくなります。

放課後等デイサービスとの共通点

放課後等デイサービスのガイドラインも令和6年7月に改訂され、同じ5領域の枠組みが採用されています。児童発達支援は主に就学前の子どもを対象とし、放課後等デイサービスは就学後の子どもを対象としますが、5領域の基本的な考え方は共通です。

ただし、年齢や発達段階に応じてねらいや支援内容の重点は異なります。放課後等デイサービスでは「生活におけるマネジメントスキルの育成」がより重視され、学校生活や将来の自立生活を見据えた支援が求められます。

児童発達支援 5領域のガイドラインを現場で活かすために

児童発達支援 5領域(ガイドライン)は、子どもの発達を総合的に支えるための重要な指針です。「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」の5つの視点で子どもを理解し、支援を組み立てることで、偏りのない質の高い療育が実現します。

令和6年度の報酬改定と令和7年4月の完全義務化により、すべての事業所が5領域に基づく支援を実践しなければならない段階に入りました。支援プログラムの公表、個別支援計画への5領域の反映、アセスメントの実施など、対応すべき事項は多岐にわたります。

しかし、これらは単なる制度対応として形式的にこなすものではありません。5領域という枠組みを通して、子ども一人ひとりの発達を多角的に捉え、その子にとって何が必要かを丁寧に考えることこそが本質です。

ガイドラインにも記されているとおり、「こども自身が内在的に持つ力を発揮できるよう、エンパワメントを前提とした支援をすること」が求められています。5領域の視点を日々の支援に活かし、子どもたちのウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に幸せな状態)の向上に取り組んでいくことが、これからの児童発達支援に求められる姿勢です。

最新のガイドライン全文は、こども家庭庁の公式サイトで公開されています。本記事の内容とあわせて、ぜひ原典にも目を通し、事業所の支援の質向上にお役立てください。

目次