2歳で言葉が出ない原因は?言葉の遅れが気になるときに家庭でできること

「2歳になったのに言葉が出ない」と悩んでいませんか。同じ月齢のお子さんが二語文を話し始める中、わが子だけ発語がないと不安になるのは当然のことです。

2歳で言葉が出ない原因は一つではありません。性格や環境による個人差から、聴覚の問題、発達特性までさまざまな背景が考えられます。この記事では、小児の言語発達に関する専門的な知見をもとに、2歳児の言葉の発達目安や遅れの原因、家庭でできる具体的な働きかけ、専門機関への相談タイミングまで網羅的に解説します。

お子さんの言葉の発達に不安を抱えている保護者の方が「これだけ読めば大丈夫」と思えるよう、実用的な情報をまとめました。焦らず、まずはこの記事を最後まで読んでみてください。

目次

2歳児の言葉の発達目安を知ろう

お子さんの言葉が遅いかどうかを判断するには、まず一般的な発達の目安を知ることが大切です。ただし、言葉の発達には非常に大きな個人差があります。ここに示す目安はあくまで参考値であり、基準を下回っているからといってすぐに問題があるとは限りません。

月齢ごとの発語数と言葉の特徴

2歳前後の言葉の発達は以下のように進むのが一般的です。

月齢語彙数の目安言葉の特徴
1歳約3~10語一語文(「ママ」「ワンワン」など)
1歳半約20~50語単語が増え始める
2歳約200~300語二語文が出始める
2歳半約400~500語二~三語文で会話できる
3歳約900~1,000語簡単な質問に答えられる

2歳の誕生日を迎えた時点で200語程度の子もいれば、50~100語ほどの子もいます。語彙数には大きな幅があるため、数字だけで判断しないことが重要です。

厚生労働省の乳幼児健康診査では、具体的な語彙数ではなく「単語を言う」「二語文を話す」といった発達段階で確認が行われています。

二語文が出始める時期と個人差

二語文とは「ママ、だっこ」「ワンワン、いた」のように、二つの単語を組み合わせた発話のことです。一般には2歳前後から出始めるとされています。

しかし、二語文の出現には相当な個人差があります。語彙が50~100語程度に達すると自然に二語文が出やすくなるといわれています。つまり、まだ語彙がそこまで増えていない段階では、二語文が出なくても不自然ではありません。

男女差も見られ、研究によると2歳児の語彙数の中央値は男児で約250語、女児で約350語と報告されています。女の子の方が言葉が早い傾向にあるのは事実ですが、あくまで統計的な傾向にすぎません。

「言葉が遅い」と判断する基準

明らかに言葉が遅れている目安として、小児科の専門家は次の二点を挙げています。

一つ目は、2歳までに意味のある単語が一つも出ていない場合です。二つ目は、3歳までに二語文がまったく出ていない場合です。

これらに該当するときは、早めに専門機関に相談することが推奨されています。ただし、該当しない場合でも保護者の方が「気になる」と感じたら、相談して構いません。「様子を見ましょう」と言われるだけの場合もありますが、プロの視点で確認してもらうことで安心できます。

2歳で言葉が出ない原因として考えられること

2歳を過ぎても言葉が出ない場合、その背景にはさまざまな原因が考えられます。一つの原因だけで説明できないケースも多く、複合的な要因が絡み合っていることもあります。

性格や発達ペースによる個人差

言葉の発達が遅い理由として最も多いのは、単なる個人差です。慎重な性格のお子さんは、頭の中に言葉をためこんでおき、自信がついたタイミングで一気に話し始めることがあります。

このような発話が遅い子どもは「レイトトーカー」と呼ばれています。レイトトーカーは障害ではなく、発達のバリエーションの一つです。

レイトトーカーのほとんどは5歳までに定型発達に追いつくとされています。ただし、レイトトーカーの約20~30%は5歳を過ぎても言語発達の遅れが残り、発達性言語障害(DLD)に移行するという研究報告もあります。そのため「個人差だから大丈夫」と楽観視しすぎず、適切なフォローを続けることが大切です。

聴覚に問題がある場合

言葉を覚える第一歩は「音声を聞き取る」ことです。聴力に問題があると、言葉の入力がうまくいかず、発語も遅れる場合があります。

重度の難聴は新生児聴覚スクリーニングなどで早期に発見されることが多いですが、軽度~中等度の難聴は見落とされやすいのが現状です。滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)などによる一時的な聴力低下も、言葉の発達に影響することがあります。

次のような様子が見られるときは、聴覚の問題を疑いましょう。

  • 名前を呼んでも振り向かないことが多い
  • テレビの音量を大きくしたがる
  • 大きな音に反応しないことがある
  • 聞き返しが多い

気になる場合は、耳鼻咽喉科で聴力検査を受けることをおすすめします。

言葉の刺激が少ない環境

言葉は「聞く」だけでなく、人とのやりとりの中で育ちます。テレビやスマートフォンの視聴が中心の生活では、一方的な音声刺激にとどまり、双方向のコミュニケーションが不足しがちです。

研究者の指摘によると、子どもは大人に比べて音の取捨選択が難しいとされています。テレビがつけっぱなしの環境では、必要な音声情報を聞き取りにくくなる可能性があります。

ただし、言葉の刺激が少ない環境がすべての原因になるわけではありません。環境を見直しつつ、他の要因がないかも総合的に確認することが重要です。

口周りの筋肉や運動機能の未発達

発語には口や舌、あごの筋肉を適切にコントロールする力が必要です。これらの運動機能(構音機能)がまだ十分に発達していないと、頭の中では言葉を理解していても声に出すのが難しい場合があります。

よだれが多い、離乳食で固いものを嫌がるといった様子が見られるときは、口周りの筋肉の発達がゆっくりである可能性も考えられます。

発達障害や知的障害の可能性

言葉の遅れが自閉スペクトラム症(ASD)やADHD(注意欠如多動症)、知的障害(知的発達症)の初期症状として現れることもあります。

ただし、言葉が遅いだけで発達障害と診断されることはありません。言葉以外のコミュニケーション能力や社会性、行動面の特性なども含めて総合的に評価されます。

ASDの確定的な診断は一般に3~4歳頃とされており、2歳の段階で結論を出すのは難しいのが現状です。知的障害も、人口のおよそ1%に見られるとされていますが、2歳の発語なしがそのまま知的障害を意味するわけではありません。

「言葉は理解しているのに喋らない」場合の見極め方

「言葉は出ていないけれど、言っていることは分かっているようだ」という相談は非常に多くあります。言葉の理解(受容言語)と発語(表出言語)は別の能力です。理解が進んでいるかどうかは、発語の見通しを立てるうえでとても重要な手がかりになります。

言葉を理解しているサイン

次のような反応が見られる場合、お子さんは言葉を理解している可能性が高いです。

  • 「〇〇持ってきて」と言うと正しい物を持ってくる
  • 「お風呂に行こう」と言うと浴室の方へ向かう
  • 「ダメ」と言われると手を止める
  • 「ワンワンどれ?」と聞くと正しく指差しをする
  • 「パパにどうぞして」と言うと渡しに行く

これらの反応がしっかりある場合は、言葉をためこんでいる段階かもしれません。言葉を「出す」準備が整えば、ある日突然話し始めるケースも珍しくありません。

言葉の理解も遅れているときの注意点

一方で、簡単な指示にも反応が薄い、呼びかけに振り向かない、人への関心が乏しいといった様子がある場合は、より早い段階で専門家に相談することが望ましいです。

言葉の理解と表出の両方に遅れが見られるケースでは、聴覚の問題や発達特性が背景にある可能性が高くなります。保護者の方だけで判断せず、小児科医や言語聴覚士(ことばの専門家)のアドバイスを受けることを強くおすすめします。

言葉の爆発期とは?前兆サインを見逃さない

2歳前後は「言葉の爆発期」と呼ばれることがあります。それまでほとんど言葉が出なかったお子さんが、ある時期を境に急激に語彙を増やし始める現象です。

言葉の爆発期が訪れるメカニズム

言葉の爆発期は、脳内に蓄積された語彙が一定の閾値(しきい値)を超えたときに起こるとされています。お子さんが日常の中で繰り返し聞いてきた言葉が、ある瞬間から次々と口をついて出てくるようになります。

専門家によると、2歳から2歳半にかけてがこの爆発期にあたることが多いとされています。それまでに聞いて学んできたことが、一気に言葉となって表出するのがこの時期の特徴です。

爆発期が近づいている前兆サイン

言葉の爆発期が近づいているとき、次のような前兆が見られることがあります。

  • 指差しの頻度が目に見えて増える
  • 大人の口元をじっと見つめるようになる
  • 絵本のページをめくりながら何か声を出す
  • 「あっ」「んー」など発声が増える
  • 大人の言葉を真似しようとする仕草が見られる

これらのサインが見られたら、お子さんは言葉を出す準備が整いつつあります。焦って「ほら、言ってみて」と強要するのではなく、自然なやりとりの中で言葉かけを続けましょう。

2歳で言葉が出ないときに家庭でできること

専門機関への相談と並行して、日常生活の中でお子さんの言葉の発達を促す工夫はたくさんあります。特別な道具や知識がなくても、毎日の関わり方を少し変えるだけで効果が期待できます。

声かけは短くゆっくりはっきりと

お子さんに話しかけるときは、短い文をゆっくり、はっきり発音することを意識しましょう。「りんご、おいしいね」「くつ、はこうね」のように、シンプルな言葉のほうがお子さんの耳に残りやすくなります。

長い文や複雑な言い回しは、2歳のお子さんには処理が難しい場合があります。大人同士の会話のスピードではなく、お子さんの目を見ながら語りかけるペースを意識してみてください。

「マザリーズ」や「ペアレンティーズ」と呼ばれる、少し高めの声でゆっくり抑揚をつけて話す話し方は、乳幼児の注意を引きやすく、言葉の習得を促す効果があるとされています。

子どもの興味に寄り添った言葉かけ

お子さんが何かに興味を示したとき、その対象を言葉にしてあげることが効果的です。お子さんが犬を指差したら「ワンワンいたね」、花を見ていたら「お花きれいだね」と声をかけましょう。

これは「共同注意(きょうどうちゅうい)」と呼ばれ、お子さんと同じものに注目しながらやりとりすることです。共同注意は言語発達の土台となる非常に重要なスキルです。

お子さんの関心と無関係な言葉を一方的に教えるよりも、今まさに興味を持っている事柄について言葉を添えるほうが、記憶に定着しやすくなります。

絵本の読み聞かせを習慣にする

絵本の読み聞かせは、語彙を増やすのに最も効果的な方法の一つです。毎日10分でも構わないので、読み聞かせの時間を設けてみてください。

読み聞かせのポイントは次のとおりです。

  • 絵を指差しながら「これはなに?」と問いかける
  • お子さんが声を出したら「そうだね」と肯定する
  • 同じ絵本を何度も繰り返し読む

「できないこと」より「できること」に目を向ける

毎日お子さんと向き合っていると、どうしても「まだ言葉が出ない」という事実に意識が向きがちです。しかし、お子さんは言葉以外の部分でも日々成長しています。

笑顔が増えた、新しい遊びに挑戦した、指差しで何かを伝えようとしたなど、小さな変化を一つひとつ記録してみてください。育児日記やスマートフォンのメモでも構いません。振り返ったとき、確かな成長の軌跡に気づけるはずです。

専門家とのつながりが安心につながる

定期的に専門家と話す機会があると、保護者の方自身の安心感が大きく変わります。「次の相談日がある」「いつでも連絡できる先がある」と思えるだけで、日々の育児に対する不安が和らぎます。

保健センターの保健師は、電話やオンラインでの相談に対応していることが多いです。「わざわざ相談するほどではないかも」と思わず、気軽に連絡してみてください。

よくある質問(Q&A)

2歳のお子さんの言葉の発達について、保護者の方からよく寄せられる疑問にお答えします。

Q1. 2歳で単語がゼロですが、すぐに病院に行くべきですか?

2歳の時点で意味のある単語が一つも出ていない場合は、一度小児科や耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。聴力の問題がないか確認することが最優先です。

受診すること自体に不安を感じる方もいますが、「異常がなかった」と確認できるだけでも大きな安心材料になります。

Q2. 上の子に比べて言葉が遅いのですが、大丈夫ですか?

兄弟姉妹であっても、言葉の発達速度は一人ひとり異なります。上のお子さんと比較して遅いからといって、問題があるとは限りません。

ただし、保護者の方の「何か気になる」という直感は大切にしてください。気になることがあれば、健診時や小児科の受診時に相談してみましょう。

Q3. バイリンガル環境が言葉の遅れの原因になりますか?

家庭内で二つ以上の言語が使われている環境では、一時的に発語が遅れて見えることがあります。これは二つの言語を同時に処理しているためで、多くの場合は発達上の問題ではありません。

バイリンガル環境のお子さんは、二つの言語の語彙を合計すると同年齢のモノリンガルのお子さんと同程度であることが多いとされています。ただし、両方の言語で著しい遅れがある場合は、専門家に相談してください。

Q4. 言葉の爆発期は必ず来るのですか?

多くのお子さんに言葉の爆発期は訪れますが、そのタイミングや程度には個人差があります。爆発的に増えるのではなく、緩やかに語彙が増えていくタイプのお子さんもいます。

「爆発期が来るから大丈夫」と安心しすぎるのではなく、日々の働きかけを続けながら、必要に応じて専門家のフォローも受けることが望ましいです。

Q5. 保育園に通い始めれば言葉が出るようになりますか?

集団生活に入ることで、同年代のお子さんからの刺激を受け、言葉が急に増えるケースは実際にあります。しかし、保育園に通えばすべて解決するというわけではありません。

集団生活の中でお子さんがストレスを感じている場合もあるため、園の先生と密に連携を取りながら、お子さんの様子を見守ることが大切です。

Q6. 1歳半健診で「様子見」と言われましたが、2歳でも変化がありません。

1歳半健診で指摘を受け、2歳になっても目立った変化がない場合は、再度保健センターや小児科に相談してください。「様子見」の期間が長引くことで、支援開始が遅れてしまうケースもあります。

保護者の方から積極的に「もう一度相談したい」と伝えることが重要です。遠慮は不要です。

2歳で言葉が出ないときに家庭でできることを実践しよう

2歳で言葉が出ないことに不安を感じている保護者の方に、改めてお伝えしたいことがあります。言葉の発達には驚くほど大きな個人差があり、2歳の段階で発語がないことがそのまま深刻な問題を意味するわけではありません。

お子さんが言葉を理解している様子があるか、人と関わろうとしているか、指差しや表情で気持ちを伝えようとしているか、まずはこれらの点を丁寧に観察してみてください。

家庭でできることとしては、短くゆっくりはっきりした声かけ、絵本の読み聞かせ、手遊び歌やごっこ遊び、五感を使った体験などがあります。どれも特別な道具は必要なく、日常の中で自然に取り入れられるものばかりです。

一方で、呼びかけに反応しない、目が合いにくい、人への関心が薄いといった様子がある場合は、早めに専門機関へ相談しましょう。小児科、耳鼻咽喉科、保健センター、児童発達支援センターなど、相談できる窓口は複数あります。

療育の利用も有効な選択肢です。幼児期の脳は変化しやすく、この時期に適切な支援を受けることで大きな成長が期待できます。通所受給者証を取得すれば、費用負担を抑えて利用できる制度も整っています。

お子さんの成長を信じながら、できることを一つずつ積み重ねていきましょう。保護者の方自身も、一人で抱え込まず周囲の力を借りてください。「ちょっと気になる」という段階で相談することが、お子さんに合った最適なサポートにつながる第一歩です。

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