児童発達支援と保育園は併用できる?両立のコツとスケジュールの組み方を徹底解説

「児童発達支援と保育園は併用できるの?」と不安を感じていませんか。保育園に通いながら療育を受けさせたいけれど、スケジュール調整や費用面が心配という保護者の方は多いでしょう。

結論からお伝えすると、児童発達支援と保育園の併用は可能です。日本知的障害者福祉協会の調査では、児童発達支援センターを利用する子どものうち約31%が保育所や幼稚園と併用しています。つまり、約3人に1人が並行通園を選んでいるのです。

この記事では、併用の条件や必要な手続きから、具体的なスケジュール例、費用、両立のコツまで網羅的に解説します。共働き家庭の工夫や、保育園との連携方法も詳しくお伝えします。お子さんの発達支援を考えるうえで、ぜひ最後までお読みください。

目次

児童発達支援と保育園の併用は本当にできるのか

児童発達支援と保育園は、そもそも制度上の位置づけが異なります。保育園は児童福祉法に基づく保育施設です。保護者の就労などの理由で保育が必要な子どもを預かります。

一方、児童発達支援は障害児通所支援に分類されます。発達に心配のある子どもに専門的な療育を提供する福祉サービスです。

制度が異なるため、両方を同時に利用すること自体は法律上禁止されていません。ただし、自治体によって運用ルールが異なる場合があるため、事前の確認が必要です。

併用が認められる条件

児童発達支援と保育園を併用するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。

まず、通所受給者証を取得していることが前提です。受給者証は、お住まいの市区町村の窓口で申請します。医師の診断書や意見書が必要になるケースが一般的です。

次に、受給者証に記載される「支給量」(月あたりの利用可能日数)の範囲内で利用することが求められます。支給量は子どもの発達状況や家庭の希望をもとに自治体が決定します。

さらに、保育園側が併用を認めているかどうかも確認が必要です。多くの保育園では並行通園に理解を示していますが、園によっては独自のルールを設けていることもあります。

自治体による違いに注意

併用の可否や条件は、自治体によって対応が異なります。たとえば、同日に保育園と児童発達支援を利用できる自治体もあれば、同日利用を認めない自治体もあります。

厚生労働省は令和4年12月に事務連絡を発出しています。保育所と児童発達支援事業所が併設されている場合の取り扱いについて整理されました。この通知により、柔軟な運用が進んでいる自治体も増えています。

申請前に、必ず市区町村の障害福祉課や子育て支援課に問い合わせましょう。「併用は可能か」「同日利用は認められるか」「支給量の上限はいくらか」の3点を確認するのがポイントです。

児童発達支援と保育園の違いを正しく理解する

併用を検討するうえで、両者の違いを把握しておくことが大切です。それぞれの役割と特徴を整理してみましょう。

保育園の役割と特徴

保育園は、保護者の就労や疾病などにより家庭での保育が難しい場合に利用する施設です。保育所保育指針に基づき、子どもの健全な発達を促す保育を行います。

集団生活を通じて社会性を育むことが大きな特徴です。同年齢の子どもたちと遊びや活動を共にする経験は、コミュニケーション力の土台になります。ただし、多人数のクラスでは一人ひとりへの個別対応には限界があります。

児童発達支援の役割と特徴

児童発達支援は、発達に遅れや特性がある未就学児を対象とした療育サービスです。児童発達支援管理責任者が個別支援計画を作成し、専門スタッフがお子さんの特性に合わせた支援を行います。

言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、公認心理師などの専門職が在籍する事業所もあります。個別療育と小集団療育の両方を組み合わせて提供するのが一般的です。

支援内容としては、言語・コミュニケーション訓練、感覚統合療法、社会性トレーニング、運動機能訓練など多岐にわたります。お子さん一人ひとりの発達段階に応じたプログラムが組まれます。

両者を比較した一覧

項目保育園児童発達支援
根拠法児童福祉法(保育所)児童福祉法(障害児通所支援)
対象保育が必要な乳幼児発達に心配のある未就学児
目的養護と教育の一体的提供専門的な療育による発達促進
支援形態集団保育が中心個別・小集団療育が中心
職員配置保育士が中心保育士に加え専門職を配置
利用時間原則8時間以上1~4時間程度が多い
必要書類保育認定通所受給者証

併用するメリットと知っておきたいデメリット

児童発達支援と保育園を併用することには、多くのメリットがあります。一方で、デメリットや注意点も存在します。

併用で得られる5つのメリット

第一に、専門的な個別療育を受けられることです。保育園の集団生活だけでは対応しきれない発達課題に、専門スタッフが個別にアプローチします。

第二に、集団生活の経験を維持できることです。療育だけに絞ると、同年齢の子どもとの自然な交流機会が減ってしまいます。保育園での集団経験は、社会性を育む貴重な場です。

第三に、療育で学んだスキルを保育園で実践できることです。これを「般化」(はんか)と呼びます。たとえば、療育で練習した「順番を待つ」というスキルを、保育園の生活場面で実践できます。

第四に、複数の視点からお子さんの発達を観察できることです。保育士と療育スタッフの両方がお子さんを見守ることで、より多角的な理解が可能になります。

第五に、保護者自身が専門家から学べることです。療育スタッフからお子さんへの関わり方のアドバイスを受けられるため、家庭での対応力が向上します。

注意しておきたいデメリット

デメリットの一つ目は、お子さんの負担です。保育園と療育の両方に通うことは、環境の変化が多くなります。特に感覚過敏があるお子さんにとっては、疲れがたまりやすくなる場合があります。

二つ目は、送迎の負担です。保育園から療育施設への移動、またはその逆の送迎が発生します。保護者にとって時間的・体力的な負担になりやすいポイントです。

三つ目は、スケジュール管理の複雑さです。保育園と療育施設の時間帯を調整する必要があり、仕事との兼ね合いも含めてスケジュールが煩雑になりがちです。

四つ目は、情報共有の手間です。保育園と療育施設の間で情報をつなぐ役割は、基本的に保護者が担います。両者への連絡や伝達に時間がかかることがあります。

併用に必要な手続きと受給者証の取得方法

児童発達支援を利用するためには、通所受給者証の取得が必須です。手続きの流れを順を追って説明します。

受給者証取得までのステップ

受給者証を取得するまでの流れは、概ね次のとおりです。

  1. 市区町村の窓口(障害福祉課など)に相談する
  2. 医療機関で発達検査を受け、診断書または意見書を取得する
  3. 障害児支援利用計画(サービス等利用計画)を作成する
  4. 必要書類を添えて受給者証を申請する
  5. 自治体の審査・決定を経て受給者証が交付される
  6. 希望する児童発達支援事業所と利用契約を結ぶ

障害児支援利用計画は、相談支援事業所に依頼する方法と、保護者が自分で作成する「セルフプラン」の2つがあります。自治体によってどちらが一般的かは異なります。

申請に必要な書類

申請に際して一般的に必要となる書類は以下のとおりです。

  • 通所受給者証の申請書(自治体所定の様式)
  • 医師の診断書または意見書
  • 障害児支援利用計画(またはセルフプラン)
  • 本人確認書類(マイナンバーカードなど)
  • 世帯の課税状況を確認できる書類

自治体によっては、療育手帳や障害者手帳がなくても申請できます。医師の意見書だけで認められるケースもあるので、まずは窓口で確認してください。

受給者証の支給量について

受給者証には、1か月あたりの利用可能日数(支給量)が記載されます。支給量は自治体の審査で決まりますが、一般的には月10~23日程度が多いです。

保育園と併用する場合、週1~3回程度の利用を想定した支給量が設定されることが多い傾向にあります。お子さんの状態や家庭の事情により増減しますので、面談時に希望をしっかり伝えましょう。

児童発達支援と保育園を併用する場合の費用

費用面は多くの保護者が気になるポイントです。保育料と療育の利用料について整理します。

3~5歳児は無償化の対象

2019年10月から、幼児教育・保育の無償化制度がスタートしています。この制度により、3歳から5歳(満3歳になった後の最初の4月1日から3年間)の保育料は無償となりました。

さらに、同じく3歳から5歳の児童発達支援の利用者負担も無償化されています。つまり、保育園と児童発達支援の両方を利用しても、3~5歳の場合はどちらの利用者負担も原則かかりません。

ただし、給食費やおやつ代、教材費などの実費は無償化の対象外です。これらは別途負担が必要になります。

0~2歳児の自己負担額

0~2歳のお子さんが児童発達支援を利用する場合は、世帯の所得に応じた自己負担が発生します。利用料は原則1割負担ですが、月額の上限額が設定されています。

世帯の区分月額上限額年収の目安
生活保護世帯0円
市町村民税非課税世帯0円約270万円以下
市町村民税課税世帯(所得割28万円未満)4,600円約890万円以下
市町村民税課税世帯(所得割28万円以上)37,200円約890万円超

年収約890万円以下の世帯であれば、月額上限は4,600円です。仮に週3回利用しても、4,600円を超えることはありません。

東京都など独自の無償化制度

一部の自治体では、国の制度に上乗せした独自の無償化制度を設けています。たとえば東京都では、0~2歳児についても世帯収入にかかわらず児童発達支援の利用料を無償化する事業を実施しています。

お住まいの自治体にどのような助成制度があるか、必ず確認しましょう。特別児童扶養手当やファミリーサポート制度など、活用できる支援は積極的に利用することをおすすめします。

保育園と療育の両立スケジュール実例3パターン

具体的なスケジュールの組み方が分からず悩む保護者は少なくありません。ここでは、実際に多くの家庭で採用されている3つのパターンを紹介します。

パターン1:午前に療育、午後から保育園

午前中に療育を受け、昼食の時間帯に保育園へ合流するパターンです。個別療育を集中して受けたい場合に向いています。

時間帯活動内容
7:00起床、朝食、身支度
9:30療育施設へ出発
10:00~11:00児童発達支援(個別療育)
11:30保育園へ移動、給食から合流
11:30~17:00保育園(昼食、昼寝、自由遊び)
17:30お迎え、帰宅
18:30以降夕食、入浴、就寝準備

このパターンのメリットは、午前中の集中力が高い時間帯に療育を受けられることです。午後は保育園でゆったり過ごせるため、お子さんへの負担も比較的軽い傾向にあります。

パターン2:日中は保育園、夕方に療育

保育園を早めにお迎えし、午後の時間帯に療育を受けるパターンです。共働き家庭で、片方の保護者が時短勤務やフレックスタイムを利用できる場合に取り入れやすい形です。

時間帯活動内容
7:00起床、朝食、身支度
8:30保育園に登園
8:30~15:00保育園(自由遊び、昼食、昼寝)
15:00保育園お迎え
15:30~16:30児童発達支援(小集団療育)
17:00帰宅、おやつ
18:30以降夕食、入浴、就寝準備

保育園での集団生活をメインにしつつ、放課後の時間帯で療育を受けるイメージです。保育園の生活リズムを崩さずに済むのが利点です。

パターン3:療育の日と保育園の日を分ける

曜日ごとに療育の日と保育園の日を分けるパターンです。週のうち1~2日を療育に充て、残りの日は保育園に通います。

曜日午前午後
月曜保育園保育園
火曜児童発達支援児童発達支援
水曜保育園保育園
木曜保育園保育園
金曜児童発達支援保育園

1日の中で環境が変わらないため、お子さんにとって見通しが立てやすくなります。特に環境の変化に敏感なお子さんには、このパターンがおすすめです。

共働き家庭が併用を成功させるための7つのコツ

保育園と療育の両立は、特に共働き家庭にとって大きな課題です。無理なく続けるための具体的なコツを紹介します。

コツ1:送迎サービスのある事業所を選ぶ

近年、保育園や自宅までの送迎サービスを提供する児童発達支援事業所が増えています。送迎サービスを利用すれば、保護者が仕事を中断せずに済みます。事業所を選ぶ際には、送迎の対応範囲や時間帯を必ず確認しましょう。

コツ2:夫婦で送迎を分担する

送迎を一人で抱え込むと疲弊してしまいます。たとえば「朝の送りは父親、お迎えは母親」と役割を明確にしておくと安定します。曜日ごとに担当を決めるのも有効な方法です。

コツ3:フレックスタイムや時短勤務を活用する

職場にフレックスタイム制度がある場合は、療育の日に出退勤時間を調整できます。時短勤務が利用可能であれば、積極的に活用しましょう。職場への説明時には、通所受給者証を提示すると理解を得やすくなります。

コツ4:ファミリーサポート制度を利用する

自治体が運営するファミリーサポート(ファミサポ)は、地域の支援会員が送迎や一時預かりを行う制度です。療育施設への送迎を依頼できるケースもあります。事前に登録しておくと、いざという時に頼れます。

コツ5:毎日のルーティンを固定する

お子さんにとって「見通しが持てる」ことは安心につながります。「この曜日は療育の日」「この曜日は保育園だけの日」と決めておくと、切り替えがスムーズです。朝に「今日は何をするか」を伝える声かけも効果的です。

コツ6:完璧を目指さない

すべてを予定どおりにこなそうとすると、保護者が疲れ果ててしまいます。体調が悪い日は無理せず休む、スケジュールを減らすなど、柔軟に対応することが長続きの秘訣です。療育は継続することが大切なので、無理のないペースを見つけましょう。

コツ7:祖父母やシッターの力を借りる

近くに祖父母が住んでいる場合は、送迎の一部をお願いする選択肢もあります。また、ベビーシッターサービスの中には、療育施設への送迎に対応しているものもあります。使えるサポートはすべて活用する姿勢が大切です。

保育園と療育施設の連携を円滑にする方法

併用の効果を最大限に引き出すには、保育園と療育施設の間でしっかり情報を共有することが欠かせません。

連絡帳を活用した情報共有

療育施設でどのようなプログラムを行ったのか、保育園での様子はどうだったのか。この情報をつなぐのは保護者の役割です。

療育施設からのフィードバックを保育園の連絡帳に記載したり、口頭で伝えたりすることで、保育士がお子さんへの対応を工夫しやすくなります。逆に、保育園での困りごとを療育スタッフに伝えることで、療育プログラムの改善にもつながります。

保育所等訪問支援の活用

「保育所等訪問支援」という制度をご存知でしょうか。これは、児童発達支援の専門スタッフが保育園を訪問し、園での過ごし方についてアドバイスを行うサービスです。

通所受給者証で利用でき、児童発達支援とは別枠で申請が可能です。園生活での困りごとがある場合には、この制度の活用を検討してみてください。保育士にとっても、専門家の助言を直接受けられる貴重な機会となります。

定期的な情報交換の場を設ける

可能であれば、保育園と療育施設の担当者が直接話し合う機会を設けましょう。年に1~2回でも、支援の方向性を共有できると大きな効果があります。

多くの児童発達支援事業所では、保護者の同意のもとで保育園との情報交換を行っています。遠慮せずに「園と連携してほしい」と相談してみてください。

併用を始めるベストなタイミングと頻度の目安

「いつから始めるべきか」「週何回が適切か」という疑問にお答えします。

早期療育の重要性

発達神経科学の研究によれば、脳の可塑性(変化する能力)が高い0~6歳頃は発達の土台を築く重要な時期です。国立成育医療研究センターの研究でも、就学前の自閉症児への早期療育は対人スキルの向上に効果があると示されています。

「もう少し様子を見よう」と先延ばしにするよりも、気になった段階で動き始めることが大切です。まずは発達相談を受け、専門家の意見を聞くところから始めましょう。

通所頻度の目安

療育の通所頻度に「正解」はありません。お子さんの状態や家庭の事情に応じて決めるのが基本です。一般的な目安は以下のとおりです。

発達の状況推奨される頻度の目安
軽度の発達の遅れ週1回程度
中程度の支援が必要週2~3回
手厚い支援が必要週3~5回

週1回からでも療育の効果は期待できます。大切なのは、療育で学んだことを家庭や保育園で実践する「般化」のサイクルを回すことです。無理のない頻度で始め、お子さんの反応を見ながら調整していきましょう。

段階的なステップアップの考え方

併用を始めたばかりの時期は、まず週1回からスタートするのがおすすめです。お子さんが療育の環境に慣れてきたら、少しずつ回数を増やしていきます。

逆に、療育で基礎的なスキルが身についてきたら、保育園での集団活動の比重を高めていくこともできます。就学に向けて、徐々に保育園中心の生活に移行していく家庭も少なくありません。

保育園から療育をすすめられた場合の対応

保育士から「療育を検討してみませんか」と声をかけられ、戸惑う保護者もいらっしゃいます。

まずは冷静に受け止める

保育士が療育をすすめる背景には、園内での十分な観察期間と職員間の話し合いがあります。家庭では問題なく過ごせていても、集団場面で困りごとが表れるケースは珍しくありません。

「うちの子に限って」と感じる気持ちは自然なことです。しかし、保育士の指摘は子どもの成長を願ってのことです。まずは発達相談を受けてみましょう。相談したからといって、必ず療育を利用しなければならないわけではありません。

相談先と発達検査の流れ

発達について相談できる窓口はいくつかあります。市区町村の発達相談センター、保健センターの乳幼児健診、かかりつけの小児科などが代表的です。

発達検査では、新版K式発達検査やWISC知能検査などが用いられます。検査結果をもとに、お子さんの得意なことと苦手なことが客観的に把握できます。「療育が必要かどうか」の判断材料にもなりますので、前向きに受けてみてください。

児童発達支援と保育園の併用で子どもの成長を最大限に引き出すために

児童発達支援と保育園の併用は、お子さんの発達を多角的に支える有効な方法です。専門的な療育と集団生活の経験、この2つを組み合わせることで相乗効果が期待できます。

併用を成功させるうえで最も大切なのは、お子さんの様子をよく観察することです。疲れが見える日は無理をせず、元気な日はしっかり活動する。この柔軟な姿勢が、長期的な成長につながります。

保育園と療育施設、そして家庭。この3つの場で一貫した支援を提供するために、情報共有と連携を大切にしてください。お子さんを取り巻く大人たちがチームとして機能することで、支援の質は格段に向上します。

「始めるのが遅すぎた」と後悔するよりも、気になった今この瞬間から行動することが大切です。まずはお住まいの自治体の窓口に相談し、お子さんに合った支援の形を一緒に見つけていきましょう。お子さんの可能性は、適切な環境と支援によって大きく広がっていきます。

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